映画『おじいさんと草原の小学校』

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映画『おじいさんと草原の小学校』を観る。

イギリスの植民地支配から独立して39年後の2003年、アフリカ・ケニア政府が待望の無償教育制度を導入した。何百人もの子どもたちが小学校の前に押し寄せる中に老人・マルゲの姿が。今まで学ぶ機会のなかったマルゲは、門前払いされる日々の連続だったが、決して諦めなかった。そんな彼の情熱に感銘を受けた校長・ジェーンは反対を押し切って入学を認める。子どもたちと初めて学ぶことの楽しさを体験し、ひた向きに勉強を続けるマルゲの情熱は、子ども、そして政府までもを変えていく…。Cinemacafe

この映画を観て思いだしたことがある。
それはどび~の祖母の言葉だった。
これは直接祖母から聞いたわけではなく、母から聞いたことなのだが。
祖母は小学校すら出ていない。ずっと病気のおばあさんの面倒を観ていたらしい。
そして、東京大震災に会い、戦争で夫を亡くし、かつ殆どの財産価値を失う。
そんなとき思ったそうだ。
教育だけは一度受けておけば失うことはないと。
だから、子供や孫が教育を受けたいと望んだら無理をしても受けさせようと。
母はその言葉を受け継ぎ、どび~にありったけの教育を施してくれた(それを十分に生かせているかは疑問だけれど)。

そして、この映画では祖母と同じように子供のころに受けられなかった主人公が84歳になって小学生になる。
彼はたった一枚の手紙を読むために。
学校に通うことを、周囲の反対を押し切って望む。
そうなのだ、この映画は実際に84歳で小学生になったおじいさんの話なのだ。

教育制度がこれだけ整った日本でも、いきなり84歳のおじいさんが学校に通いたいと望んだら、何を今さらと家族は、周囲は反対するかもしれない。
それはなぜか?
恥ずかしいから?お金がかかるから?
様々な理由があるからだろう。
それは教育というものだけではない。
年齢は関係ないのだ。
何歳になっても何かをしたいと望んだらするべきなのだ。
それが人間の自由であり、生きる力なのだから。
恋をしたいと言うならしたら良い。それがたとえ60歳でも、70歳でも。
勉強したいと言うならしたら良い。
仕事がしたいと言うなら、どんな形でも良いじゃないか、したら良い。

そんなあたりまえのことを思い出させてくれた。

追記すると、この映画ではおじいさんが抱えたケニアの歴史も描かれている。
独立戦争で戦う戦士としての過去。
そこで受けた仕打ちはかなり過酷なものだ。
でも、だからこそ、彼の思いは強く感じられる。

最後にどび~はひとりで拍手を送った。
おじいさんの人生に拍手を。

2011年7月30日より岩波ホールほか全国にて順次公開

by dobbymylove | 2011-07-31 18:44 | Movie