本『追憶のかけら』
貫井徳郎原作の『追憶のかけら』を読了していました。(1週間以上前に。)
なかなか面白い構成になっています。
戦後まもなく亡くなった作家の遺言にも思われる手紙が小説の3分の2ぐらいを占め、作家の死の原因を紐解きつつ自分の再生をかけた論文作成を企てる大学講師の様子が描かれている。しかし、その手紙にも謎が含まれていて、主人公の大学講師は悪意の渦に巻き込まれていく。
…みたいな感じでしょうか。
手紙の書かれた時期が戦後直後ということのため、何だか松本清張のような、横溝正史のような感じの雰囲気があります。
そして、今回のテーマは「悪意」。
人間、いついかなる時に、かつ誰に悪意を抱かれるかはわからないってことでしょうか…。
怖い怖い…。
特に、どび~は小説の中でも描かれていたハイソサエティに住む人々の慇懃無礼さというか、彼ら独自の持つ価値判断のようなものに、またもや嫌気が…。
実際にもあるんです。ニコニコしながら、とても丁寧な奥様方…。でも、彼らは常に自分たちのソサエティ外の人たちを下に見ていることが…。
それも無意識のうちに。自分たちでは見ていないと口にし、思い込んでいながら…。
そういう姿を傍から見てしまったどび~は、その後、と~っても気になるようになりました。
そんな姿が、この小説でも描かれていて、最後の感動(?)よりもそっちに思いが行ってしまったって感じです(笑)。
by dobbymylove | 2009-03-02 14:03 | Book